勝者のたしなみ

大河ドラマの西郷どんだったかな?遠藤憲一が演じる勝海舟が西郷どんに向かって「いつの世も勝者や敗者なんてものはあっけなく入れ替わるもの。お前さんほどの人間なら勝者のたしなみはご存知だろ?」的な話をしててね、

まあ勝利は目に見えてるんだから江戸の街を大火に包んでまで敵を追い込まなくとも良いという意味なんだけど、(ああ、いいセリフだな)と思ったのを思い出す。西伊豆旅行、2日目。今日はバーサスを打つ私の隣にポンチャイ君が座っている。

昨日もジャグラーでペカペカ。今日もジャグラーでペカペカ。パチスロというのはそういう日もある。いつも私の話を聞いている彼は、パチスロというのは到底勝てないものだと感じているかもしれないが、実際には多くの人にとっては勝ったり負けたりするゲーム。

1,000円2,000円でビッグを連チャンさせ、まとまったコインを確保し、100ゲーム程度を回してそのコインを流そうとドル箱に手を伸ばしたポンチャイ君に、私はこういったのである。「少しハマってやめるのが、勝者のたしなみだよ」…と。

お店の人、ありがとう。これまでハマった人、すいませんね、ちょっとはメダルを戻しておいたから、と、西郷どんの前から私は感じている勝者のたしなみである。仮に勝負を続行して更なる勝利を得ることもスロというゲームにおいてはすがしいことでもあるが、勝負に出ずに利益を確定する所謂”勝ち逃げ”より、「いやあ、結局少し減らしちゃったよ」ぐらいが鷹揚としてて良いと思う。

「おう。そうか。そんなもんかな。」と、ポンチャイ君はわかったもので、手に掛けたドル箱を頭上に戻し、ペチペチと300ゲームほど回した。ジャグラーという競技は400ゲームからが茨の道。ヤメ時としても、申し分ないだろう。

誘っておいて悪いが、お金のことを考えたらスロなんてやらないのが一番である。ただ、時にはリスクをとり、時にはリターンを得ることを楽しむのがスロなんだから、たまには大き目に張って、それが返ってきたら少し戻す、と、そんな楽しみ方があってもいい。

ポンチャイ君の隣で、大き目に張って、それが何も返ってきてない私という哀れな中年もいるにはいるが、いやなに、後悔はしていない。友人と並んで勝負に出れたのはまさにプライスレス。良かったなポンチャイ君。そろそろ晩飯にでも向かおうか。

…って師匠はどうした、師匠は?と、辺りを見渡すと千円で出たコインを元手に目ぼしい台を行き来し、ガッツリ数万円のプラスであるという。「これで焼肉だなー」ということなのだが、まあ、勝ち続けるから勝ち組というわけで、

勝ったり負けたりでないなら、勝ち組は別に勝者のたしなみもクソもないか、と、それはそれで納得の凡作、夏の日のひとコマである。












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