『恐ろしき錯誤』(1923)

江戸川乱歩は自分に厳しい人だったようだが、やっぱり他人からも厳しい評価を受けることもあったようである。「二銭銅貨」「一枚の切符」で整理小説家として鮮烈なデビューを飾るも、第三作目のこの「恐ろしき錯誤」は時の編集長が「うーん、これはまだダメかなあ」と掲載を見送ったというのだから、やっぱり粗削りな作品なんだろうね。

私が見ても冗長な感じを受ける。燃え上がる火事の現場で若い母親が火の中に飛び込んでいく理由を後年の「赤い部屋」ではサラッと描いているのだが、ここではやや回りくどく、思い込み強く描いている。主人公の思い込みが強く、それなのに(そこで間違うかフツー)という部分での錯誤をしたり、復讐が復讐になってないよなあ、とか、色々惜しい。

惜しいといいつつ、この作品がデビュー作で世間に「ふーん」で終わられなくて良かったとファンとしては思う。3作目なら若さ故の粗削りさということで面白がって読める。考えてみれば思い込みの強い人物が悶々と復讐の方法を練るというのは、この後の江戸川乱歩の作品でなくてはならないネチっとした要素である。やはりこの作品がなければ、その後の江戸川乱歩はないのである。








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