「スペシャルドラマ 犬神家の一族」

12・24のクリスマスイブの21:30から放送という、ある意味冒険とも思える企画を進めてくれたフジテレビのスタッフとキャストの皆さんには感謝したい、と、どの位置からの挨拶かわかりませんが、ホントに「犬神家の一族」に取り組んでくれたことはファンとしては嬉しい限り。ありがとうございます。お疲れさまでした。

金田一耕助役の加藤シゲアキには不安と不満しかなかったけど、見終わってみたら(ん?こんな感じなら小栗旬でも行けるんじゃね?)とか(黒木メイサのダンナがやったらこんな感じなんだろうな)とか、金田一の色んな可能性を見出す機会にもなり、それはそれで良かったと思います…って、褒めてないか。

演出とか内容は市川崑版なんだけど、金田一は上川隆也の雰囲気に寄ってる部分もあったね。顔が上川隆也とシャープにした感じ、話し方とか声が小栗旬ってイメージかな、私にとっては。

重要なことはね、〇〇代目の、とか平成最後の、とか金田一役者を襲名したら、どれだけのシリーズを残せるかが次に重要なことだと私は思うのね。映画ならともかく、テレビならより印象に残る名作を世の中に同じスタッフとキャストで世に出していけるか… これが使命だと思う。加藤シゲアキ、応援するから頑張れよ!

ということで良いとこも悪いとこも、まずは見たまま思ったことをツラツラ挙げて行きます。まず加藤!ちゃんと走るところは走れよっ!若いんだから。毎回意味もなく走ってるのは石坂金田一のオマージュなんだけど、何となく面倒そうにドタドタと走ってるように見える。若い頃の石坂浩二の方が躍動感があったぞ!

金田一というキャラは当事者(犯人や警察関係者)にはウザがられ、その他の登場人物には好かれそうなキャラが理想なんだけど、今回はどこか尊大で自分勝手で自己顕示欲の強い雰囲気が出てたなあ。明智小五郎ならそれでもいいんだけど、金田一の場合は事件のことで気が回らなくなって没頭しちゃう、って感じじゃないと。

その表れが一生懸命に走るところとか、熱中するとお風呂に入らないとかなんだよね。事件解決まで風呂に入らないとか、そういうことじゃないのよ。この街に訪れて事件解決まで何日経ってると思うんだよ、全く。

知識や洞察力をひけらかすわけでもなく、あと重要なのは依頼人の依頼に基づいて探偵としての仕事をしてるってことね。映画版はその点が上手かった。弁護士の若林から依頼を受けてきたのはいいけど第一の被害者がその若林さん。その弁護士事務所のボスの古舘弁護士から改めて依頼を受けるという流れが重要ね。

経費で落ちるとか領収証を切るとことかがビジネスナイズされてるんだけど、旅館とか警察の連中とかに事件解決後に見送りたいとか言われて、そういう探偵という業務以上に人間的な魅力がある設定なんだけど、今回の加藤シゲアキ版は金田一モノにある解決後の余韻に乏しかったね。まあこれは時間の制約かな。

時間の制約という意味では原作でも冗長だったお琴の師匠の香琴センセイが実は静馬の母親の青沼菊乃だったという設定がカットされ、あと竹子の娘の小夜子は存在自体もカット。野々宮大弐さんの男色の設定もカット。

このヘンは時間内に上手く処理できてるんじゃないかな、と高評価ですね。あと青沼菊乃、静馬親子に対し松子竹子梅子がムゴイことをしたことについての呪いというか、復讐ね。犬神佐兵衛の遺言も、死体をむごたらしく処理する意図も、三姉妹に対する復讐の意図があったと示す今作の方がわかりやすいね。

親と子という縦の線、姉妹兄弟という横の線、佐清と珠代の純愛と、それを取り巻く脇役という相関関係が一族モノの醍醐味なわけで、それに遺産相続や復讐というサスペンスの要素が絡んでくるのが作品の魅力。正直、謎解きの要素は少ないんだけど、今回、スケキヨをひっくり返して湖に沈めてヨキが残る、という、

ある意味原作でも苦笑ポイントだった点から逃げずに、これは猿蔵が処理をしたという新展開になった。これは改変なんだけど、個人的にはアリだね。大倉孝二が上手いこと猿蔵を演じてましたね。これまでは愚直に珠代を守る役なんだけど、今回、猿蔵が一連の連続殺人のコンセプトを理解して湖に逆さに死体を突っ込むという処理をした、ということで、むしろ原作の方のムリが解消された感じでもある。

黒木瞳は…まあ新しい松子像かな。高峰三枝子とか京マチ子のような貫禄は無理にしても母親としての愛情と、同じ子を持つ母親なのに青沼菊乃の前で静馬にあんなヒドイことをする、という二面性というか狂気の部分はよく伝わってきた。最後に「人々に愛されるような犬神家」みたいなことを言ってたけど、それはムリだろうけどね、ハハハ。あとは竹子と梅子。松田美由紀にりょう、ね。2人とも怖い顔ね。黒木瞳だけ優しく見えちゃう。

作品のバランスが崩れちゃうけど、ネタで佐武が松田翔太とかだと親子共演だね。や、やっぱヤメた方がいいな。松田翔太をキャスティングできるなら他の役の方が良いもんね。親子共演は2006年版で富司純子と尾上菊之助でやってるけど、スケキヨ役は今回の賀来賢人の方が良かったと思うね。

銃の構え方はLINEのコマーシャルっぽいけどね、スケキヨはイケメンが映えるよ。あおい輝彦は静馬役は最高だけど、スケキヨ役としてはふっくらし過ぎてたよね。これは三田佳子版の西島秀俊がドンピシャだったけど、今回も帽子を脱いでからのイケメンぷりが良かったんじゃないかな。

脇役は署長の生瀬勝久がさすがに素晴らしい。コメディリリーフを単独で引き受けてくれてました。次回作があるなら是非登場してほしい。でも犬神家の舞台の警察署の署長だから他の作品に出るのは難しいんだよね。古舘弁護士の小野武彦も巧いね。部下の若林が殺されてるんだよね。そこで犯人に激昂する場面がある。

「踊る大捜査線」でも織田裕二の上司として「私の部下の命を何だと思ってる!」系の名言を残してましたが、犬神家の若林さんでその発想はなかったなあ、と意外なところからの気づきがあってビックリ。でもその数分後にスケキヨの情状酌量の余地に触れて犯人を安堵させようとしてる場面もあるんだよね。この辺りの矛盾は避けられないかな。犬神家という土地の名士に対しての尊敬とか畏怖がある設定が自然なんで、少し激昂の部分は新鮮でしたね。

里見浩太朗や佐戸井けん太、梶芽衣子、板尾創路あたりは無駄使い感があって勿体ない。梶原善の鑑識官の有能設定は意外で良かった。あと佐智役の人も良かった。市川崑版は丸々レ〇プ魔丸出しだし、古谷一行版は松橋登という劇団四季の男前で、キザ設定だったからね。大阪弁の間の抜けた佐智は新鮮でした。でもあの、りょうから生まれたとは到底思えないけどね。

って全然終わる気配がないね。撮影してるロケ地は良かった。枯れた感じが良く出てたし、展望台のドローンの空撮も良かったね。市川崑の時代には難しかった撮影方法や表現技術は上手く取り入れて欲しい。金田一が推理するとこは市川崑版はハイコントラストに細かなカット割りで表現してたけど、あーいうのは欲しいよなあ。

安っぽいとは言えテレビの「ガリレオ」みたいな手法もあるんだから、金田一が推理で真相にたどり着く時の映像や音楽による表現も期待したい。あ、あと音楽は大野雄二じゃないのね。番宣で愛のテーマを使っただけかあ。

音楽は重要だからね。次回はホントに大野雄二に頼んだら?でも2006年版の本家でもメインテーマしか使ってないからテレビシリーズだと厳しいかな。最後に表現技法として金田一が左利きってことを見せてたけど、あれって何設定…?加藤シゲアキが左利きだっただけ…とかはヤメてくれよな。

ということで、次回作に期待します!







































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