アッチ側でも

やれエリートや勝ち組のことを羨ましいと思う気持ちと、自分には無理だなあと思う気持ちと、両方の気持ちがあるのは正直なところだが、ただ私にとって純粋に羨ましいと思えるような人達がこの世の中には何人かいる。

例えばスティーブン・スピルバーグであったり、例えば玉置浩二であったり、いや確かに才能のほとばしる、この上ない勝ち組なんだろうけど、それを超越した、生涯かけても飽き足りぬ楽しみを見つけて、その才能に満ちていて、成功してもなお楽しそうに、チャレンジを続けている人たちである。

例えばスピルバーグはいくら成功したって儲かったって、映画作りをヤメないだろう。仮に全財産を失ったってハンディカムで素晴らしい映画を撮り出すだろう。もうカネとか名誉じゃなくて、それが当たり前になってる人たち。

先日亡くなられた桂歌丸も、まさに私からみるとその人。落語という分野、噺家という職業を疑いもなく、黙々と歩み続け、人気が出ても苦しくても、どんな時でも落語と共に歩み、死ぬまで落語家であり続けた歌丸師匠を、

私は純粋に羨ましく思う。小さい頃から笑点でお馴染で、何となく亡くなったウチの爺さまに似た風貌で。完全に落語の世界では第一人者で、勝ち組か負け組で言えば完全にアッチ側の人なのに、それは別にゴールでも何でもなく、ただ落語をやり、稽古を続け、落語家のまま死んでいった歌丸師匠。

ヒッチコック監督も、死ぬ直前まで次回作の構想を練っていたそうだ。死にたくない。まだ撮りたい作品があるんだよ。これまで多くの人に影響を与え、作品を残し、生きた足跡を残した人でも、まだまだやりたいと思える人達。

歌丸師匠も、多分そういう人だったんだろうな。ソッチの意味でもアッチの世界に行っちゃったけど、そういう人はあの世で前座からやり直しでも、喜々として落語の道を選ぶんだと思う。安らかに。合掌。









この記事へのコメント

2018年07月12日 22:25
あとは円楽に期待だね。
ぼんさく
2018年07月14日 23:38
六代目かな?意外とストイックな感じがしないけどね。

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