『湖畔亭事件』 (1926)

『湖畔亭事件』という小説も、実に江戸川乱歩っぽい小説なんだよなな。内気な主人公が療養に来ている湖畔亭という旅館の自分の部屋に女湯を覗ける鏡の仕掛けを作って自分の世界に浸る世界感。まさに乱歩っぽい。

鏡、押し入れの中。そしてその仕掛けの中に広がる美しい女性の後ろ姿と彼女を狙う巨大な包丁。ヒッチコックの『裏窓』に似たサスペンスである。あるはずの死体が消失していたり、血痕から事件が明らかになったりな話。

この小説も、結末をぼやかす系の余韻のある小説なのだが、別に怪人も出てこないし、明智も出てこない、非常に地味と言えば地味な作品だ。もうそもそもタイトルが地味だよな。『湖畔亭事件』、そのまんまじゃないかい!

話とはあまり関係ないが、江戸川乱歩の小説に出てくる主人公は金の苦労をしてない人間が多い。超大金持ちでパノラマ島を作ってしまう人もいるし、仕事をしないでも生活の心配のない人が主人公であるケースが多い。

この主人公も湖畔亭という結構な旅館に何日も病気療養として逗留してるわけで、その点が一泊二日で事件に巻き込まれてちゃう現代の2時間ドラマとは違うシチュエーションだよね。話が何となくゆったりしているというか。

ただこの小説を元にした天知茂の美女シリーズの『湖底の美女』はコテコテの2時間ドラマテイストが満載でね、不倫がどうした慰謝料がどうしたって、もう原作との共通点が登場人物の名前ぐらいしかないという大胆さなの。

でも松原千明が可憐でキレイだし、それまでずっと監督していた井上梅次監督の最終作でもあって、なかなかエンターテインメントな作品に仕上がってるの。髑髏のコケシや髑髏の仮面の怪人も出てくるし。トリックも派手だし。

私は天知茂版を先に見たから、初めてこの『湖畔亭事件』を読んだ時、(いつになったら髑髏の怪人が出てくるんだ?)と思いながらずーっと読んでいたのを思い出す。実際は非常にしっかりとした探偵小説だった、という話。







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この記事へのコメント

みじんこ
2014年04月17日 11:16
気持玉が一つあったので、僕も乗ってみました。期待してまぁす。
ぼんさく
2014年04月29日 01:15
未更新の日記を埋めるように唐突に始まった江戸川乱歩シリーズ、いかがでしょうか?ええ、完全に自己満足の世界ですが、何かの話題の足しになれば幸いです。
みじんこ
2014年04月29日 05:07
凡作さん、こんにちわ。丁寧に返信ありがとうございます。僕も本は好きなんですが、江戸川乱歩さんは読んだコトがありません。一度紹介されている作品を読んでみたいと思います。(^^)
ぼんさく
2014年04月29日 18:23
いやー、実は江戸川乱歩作品全作紹介しようと思ってるので、何が面白いかの参考にはならないかもしれませんね。日記の更新のネタが無い時には日数を稼げて良いのですが。

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